華鳩*清盛 醸造元　榎酒造株式会社

迎賓館など、海外のお客さまを招き日本酒で乾杯していただく際のお酒として、国税庁醸造試験所で開発されたお酒が貴醸酒（きじょうしゅ）です。
＜日本独自の高級酒＞として1973年、醸造試験所の佐藤博士らによって開発。
｢貴腐ワインに比較されるタイプの高級日本酒｣として『貴醸酒』と名付けられました｡

清酒は米、米こうじ、水から造りますが、貴醸酒は水の代わりにお酒から造るのが最大の特徴です。三段仕込みの最後、留添えで仕込水の代わりに純米酒を使って仕込みます。酒で醸すため、酵母のアルコール発酵がゆっくりと進み、エキス分の多い濃醇で香味豊かなお酒に仕上がるのです。



華鳩では、国税庁醸造試験所の製造特許をもとに、1974年、全国で初めて貴醸酒を製造。「誰も飲んだことのない新しい酒にチャレンジし、日本酒の幅を広げたい」という一心で、現会長の榎徹が製造に取り組みました。

製造当初、｢こんな色のついた甘い酒は日本酒ではない｣と酷評されもしましたが、諦めることなく試行錯誤を重ねた結果、食文化の多様化に伴い貴醸酒が受け入れられる土壌も徐々にできてきました。実際、海外での評価も高く、世界にアピールできる日本のお酒と自負しています。

日本酒に仕込み水が大切なように、酒で仕込む貴醸酒には上質なお酒が必要です。時間と手間、コストが日本酒以上にかかるお酒ですが、長期保存しても酒質が保たれ、熟成を重ねるほどに口当たりなめらかで、あと味のキレも深まるリッチな味わいがあります。



味は、濃厚でまろやかな甘口。レーズンやナッツのような香味が豊かでコクがあります。しかし、普通のお酒よりも酸味があり、甘いながらも意外とあと口がさっぱりしているのが貴醸酒の特徴です。

熟成させるほどに琥珀色が深みを帯び、円熟した味わいに。日本酒というより、シェリー酒、マディラ酒、貴腐ワイン、老酒に近い印象を抱かれるかもしれません。けれど、新酒は透明で、見た目は普通のお酒とあまり変わりありません。味も甘口の白ワインのようにさっぱりとした、さわやかな口あたりです。

以前は、20度以下の貯蔵庫で8年以上熟成させた古酒タイプをメインに販売していましたが、最近では、できたての「生にごり酒」や「無濾過生原酒」も人気です。

しっかりと熟成させた古酒タイプから、できたてのフレッシュさが楽しめる新酒まで、華鳩ではさまざまなタイプの貴醸酒をお楽しみいただけます。